能のトレーニングにインナーマッスルの秘密があった。
すり足で目覚める「大腰筋」
伝統文化の「能」。中高年には人気が高く、鑑賞を楽しむだけでなく、習い始める人も少なくない。
長く続けられるのも魅力。
高齢でも現役で活躍する能楽師は多い。
独特の所作が健康作りに役立っているようだ。(西内高志)
能トレ
東京都小金井市にある能楽師・津村禮次郎さんのけいこ場。
舞台では、興津誠さん(67)が扇を手に「岩舟」という舞の指導を受けていた。
能特有のすり足の動きはスムーズで、床を足で打つ音は力強い。
声もよく響いてくる。息の乱れもない。
50歳の時に習い始め、今も月に3回けいこに通う。
大手企業の役員という重責を担うが、「能のおかげで、会社の会議でもよく声が通ります」と笑う。
静かな動きで足腰強く
高々と跳び上がる
能には年齢によるハンデはあまりないようだ。
80歳代の能楽師が10キロ近い装束を着て、1〜2時間の舞台をこなすこともある。
能面をすれば呼吸がしにくく、視界も制限されるが、動きにはよどみがない。
津村さんも今年65歳。
だが、助走なしで高々と跳び上がり、スケートのように360度回転して着地する。なぜだろう。
「日本人の身体能力を高める『和の所作』」などの著作がある能楽師の安田登さんを訪ねた。
安田さんは「舞台やけいこで、大腰筋を中心にした深層筋と呼ばれる筋肉を使っているためでは」と指摘する。
5年ほど前、アメリカ発の「ロルフィング」という身体調整法を学び、そう考えるようになったという。
腹直筋(いわゆる腹筋)などは体の表面近くにあり、表層筋と呼ばれる。
これに対し、深層筋は奥の方にある。
「年齢とともに表層筋は弱くなるが、深層筋をうまく使えば補える。鍛える必要はなく、眠っているのを活性化すればいいのです」と安田さん。
中でも重要なのが、腰椎から内臓の後ろ側を通って太ももの内側に至る大腰筋だそうだ。
ももを上げる際などに使われ、足腰の要となる。
腹式呼吸で声朗々
大腰筋の活性化に適しているのが、能の基本のすり足。
「大きな動きをすると表層筋が動く。小さく静かな動きがいいのです」
記者も習得しようとしたが、微妙な動きで難しい。
代わりに教わったのが、「足振り」
すり足の動きをより効果的に行なえるという。早速やってみた。
あまりにも小さな動きで拍子抜けする。
だが、続けていると、腰から足がゆったりと伸びていく感じがする。
高齢の能楽師が身軽な動きができる秘密は、活性化した大腰筋にありそうだ。
「横隔膜も大腰筋につながっている。腹式呼吸によって、よく通る声が出せるのです」と安田さん。
深いところを静かに動かす「伝統の力」。中高年の健康作りにうってつけだ。
足振り
(1)10cmくらいの高さの台に片方の足を乗せて立つ。
壁などに手をついて身体を支え、真っすぐに安定させる。
背中は自然にスッと伸ばす。
(2)台に乗っていない足を、股関節からゆっくり静かに前後に振る。
ひざの力を抜き、歩く際の1歩分の歩幅よりも小さく。
1分に30往復程度のテンポで、それぞれの足を3分ずつ。
(3)1日に1度、大腰筋が伸びているとイメージしながら。
<以上新聞記事の内容です>
深層筋に効率よくアプローチできる波動トレーニング
新聞の記事にもあるように、インナーマッスル(深層筋)にアプローチするには「軽い・静かな」動きでしか出来ません。
そういうアプローチが簡単に出来るトレーニング方法を開発しました。
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